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Archive2012年07月 1/1

いつかどこかで・エピローグ

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「それで、どうなったの?」「どっちが勝ったの?」 長い話を聞き終えて、鏡合わせに首を傾げる双子の姉弟に、駄菓子屋の現役看板娘は楽しげに笑う。「そうさね……。強いて言うなら――」 思わせぶりな口調に、思わず身を乗り出した双子達は、背後から立ち上る憤怒のオーラに気づかない。「あんた達!! また往来で喧嘩して!!」「ぎゃっ!!」 手に手を取り合って飛び上がる双子の頭をそれぞれ鷲掴みにし、怒髪天を突くのは誰で...

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いつかどこかで・第6話「どうなった」

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 劫火が舞い、竜巻が踊る。激しい雷光が駆け抜けたかと思えば、荒れ狂う水流がそれを追いかける。 次から次へと繰り出される技の数々は、まるで魔法の見本市だ。しかも普段は滅多にお目にかからない大技ばかりが放たれては打ち消され、そこからまた次の魔法へと繋がっていく。「凄い……!!」 結界で守られている安心感もあって、サラは食い入るように目の前で繰り広げられる魔法合戦を見つめていた。 もうすでに一時間以上続け...

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いつかどこかで・第5話「何をして」

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 森の中にひっそりとたたずむ白亜の宮殿。その正面玄関に掲げられた「関係者以外立ち入り禁止」の看板をさらりと無視して、魔術士達は大理石の階段をすたすたと上って行く。「……あの、入っていいんですか?」「大丈夫です。私は立派な関係者ですから」 胸を張るリファを尻目に、リダは周囲を隙なく見回しながら囁く。「よし、誰もいないね。ばれないうちにさっさと行くよ」「やっぱりまずいんじゃないんですか!」「なに、町中で...

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いつかどこかで・第4話「誰と」

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「今日こそは私が学園一だってことを証明してやるんだから―!!」 高らかな足音と共に響いてくる物騒な叫び声。声の方をそっと窺えば、金の髪を揺らしてやってくる長身の魔法使いの姿が目に入る。「のらりくらりとはぐらかされたけど、今日こそは逃がさないんだからね!」 青空に向かって吠えているのは、巷で評判の『爆裂おねえちゃん』こと《鍍金の魔術士》リダ。その明るい空のような瞳は、まるで太陽の如くぎらぎらと輝いて...

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いつかどこかで・物語の舞台

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 どこにも書くのを忘れたので、先ほど「但し書き」に追記しましたが、ここでも補足説明をば。 「いつかどこかで」の舞台は、「Parallel Planet」"学園惑星ステラルクス"となっております。ここしか、山田のおばあちゃんとリファとリダが共存できる場所が思いつきませんでした(^_^;) 「Parallel Planet」は星明かり亭内作品のキャラが一堂に会するパラレルワールドです。学園惑星ということで、みんな先生だったり生徒だったり用...

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いつかどこかで・第3話「誰が」

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「おはようございます、サラ」 落ち着いた声に振り返れば、青空に揺れる金の髪。深い海のような双眸は、いつも穏やかに凪いでいる。 紫紺の長衣に身を包み、手には宝石を嵌めこんだ長い杖。優雅な物腰と柔和な人柄もさることながら、その美貌は道行く人が老若男女問わず必ず振り返るほどに冴え渡っている。 ミスコンを行えば必ず上位に食い込む美貌の魔術士は、しかしその美貌や実力を鼻にかけることなく、誰に対しても丁寧な言...

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いつかどこかで・第2話「どこで」

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 この町は、学園を中心に作られている。 だから町のメインストリートはそのまま学園への通学路であり、朝夕に生徒達が行列を成す様はまるでどこぞのイベント会場のようだ。 しかし、授業が始まれば町は閑散として、まるで使われていない映画のセットのようだ。メインストリートにも人影などというものはほとんどなく、目を瞑って歩いても誰かにぶつかる可能性は極めて低い。 そんなゴーストタウンのような町を気ままにふらつく...

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第一話アップしてみましたー

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 13周年記念企画「いつどこゲームde短編小説」改め、連載小説「いつかどこかで」の第一話をアップしてみました!! ブログ小説用のテンプレートもいろいろ見てみたんですが、作品イメージと合うのがないのと、カスタマイズでめげて、いつものテンプレートのまま行くことにしました! なのでいきなり小説本文が読めてしまいますが、まあそこはご愛嬌ということでご容赦のほどを。 トップに連載終了までの「但し書き」を掲げて...

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いつかどこかで・第1話「いつ」

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 山田のおばあちゃんは昔から『おばあちゃん』で、今でも『おばあちゃん』だ。 彼女が『おばあちゃん』ではなかった頃のことを、誰も知らない。 三丁目の駄菓子屋と言えば、この辺の子供なら誰もが知っている人気のお店だ。本当の名前は『山田商店』だが、その名前で呼ぶ者はいない。ただ、この道四十年のベテラン店番のことは、誰もが「山田のおばあちゃん」と呼んでいた。 ふっくらした頬に、皺だらけの優しい手。真っ白の髪...

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